名古屋市内の自然スポットといえば「藤前干潟」と思い浮かぶ人はどれくらいいるのでしょう。渡鳥の飛来地として有名ですが、実は増え続ける名古屋のゴミで処分場が足りなくなる恐れから一部をゴミ処分場として埋立地とする計画が持ち上がった場所です。今回は、守りたい名古屋の大自然。藤前干潟にスポットライトをあてます。
藤前干潟とは?
庄内川の河口に広がる約300ヘクタール(東京ドーム64個分)の大きな干潟。2002年11月、日本で12番目にラムサール条約に登録されました。日本有数の渡鳥の中継地で、多くの野鳥が飛来します。名古屋市ではゴミが増え続けたことで、この場所をゴミの埋立にする計画が持ち上がりましたが、自然を守ろうという市民の声により計画は中止しました。これをきっかけに、市民・事業者・行政が協働で大幅なごみ減量を取り組むことになりました。2001年度には1999年度に比べ、ゴミを23%減らすことができました。
ラームサール条約:世界の湿地の保全を目的とした条約。1971年にイランのラムサールで採択。現地には、石のモニュメントにラムサール条約登録の証明書が埋め込まれいます。
しかしながら、近年、2つのゴミ問題が浮上しているそうです。
プラスチックごみの問題
プラスチックは安価で軽く、日常生活に身近なものですが、ポイ捨てや風で飛ばされたレジ袋やペットボトルなどは、土や水では分解されず、最終的に海にたどり着きます。
藤前干潟やその周辺の岸辺でも、上流から運ばれたペットボトル、ビニール袋、発泡スチロールなどの石油原料の製品ゴミに覆われています。
釣りごみの問題
藤前干潟のある庄内川河口や新川河口は、もともと釣り人が多いエリアですが、近年釣りゴミによる問題が生じています。干潮にもかかわらずルアーを投げ入れてしまうと、障害物に引っかかり、外せなくなったため放置される用具がたくさんあります。
野鳥が誤って釣り針を飲み込んでしまったり、釣り糸に絡まってしまうケースが見られます。
わたしたちにが日頃からできる3つの対策
- 買い物にはマイバックを持参してゴミ袋をもらわない
- マイボトルを利用して、ペットボトルをなるべく使わない
- ポイ捨てはしない
ゴミが我々にも影響する?
食物連鎖
藤前干潟に流れ込んでくる川の水に含まれている栄養分をもとに植物プランクトンが発生します。それを、干潟に生息するゴカイ、アナジャコ、カニ、貝などが食べ、さらにそれらを魚や鳥が食べます。このように、食べる・食べられるの関係を食物連鎖と呼び、最終的にその頂上には人間がいます。
湿地による恩恵
世界の生物種の40%は湿地に生息するか、湿地で繁殖しています。湿地の再生は、食物連鎖を活性化し、生物多様性を回復させます。さらに、湿地は水をろ過し、汚染物質を取り除き、地域の水供給を高めます。また、泥炭地、マングローブ、塩性湿地、海藻藻場などの湿地は、非常に効率的な炭素吸収源となります。
おすすめスポット
藤前干潟の目の前にある稲永ビジターセンターは、藤前干潟に関する情報が盛りだくさんです。お隣の名古屋市野鳥観察館では藤前干潟に生息する野鳥を知ることができます。また、藤前干潟周辺は散歩コースにもなっています。1日ぼーっと海を眺めるのもよし。ハンモックでぶら下がって本を読むの気持ちよさそうです。
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